桃栗三年柿八年、そしてコルクは20年。

2009/11/18

山梨県は甲州市勝沼にあるマンズワイナリーに行ってきました。
実はここ、あの醤油で世界的に有名なキッコーマンの100%子会社だったりします。
注:べつにしょっぱいワイン作ってるわけじゃない。

最初に言ってしまえば、そもそも行ったメンバーがとあるバーのお客さん達50名というところからして阿鼻叫喚がある程度予想されるわけですが…。
行きのバス(はとバス貸し切り)の中から酒盛りでした。でも、トイレに行きたくなると困るのと、メインイベント時に酔っぱらってて飲めないと困るので私は我慢。

そんなこんなで高速道路も空いていてワイナリーに無事到着。
マンズワイナリー

歓迎されているのはいいんだけど、お昼を食べる予定なレストラン、「本日終了」ってなってますけど…。
本日終了
※正確には、本日まだオープンしてないだけでした。

そんなわけで、まずはちゃんと工場の見学から。

安全第一
安全第一

冷却タンク
タンク
と、ここら辺だけ見たら「化学工場です」と説明されても納得しそう。
食品工場である以上露天で昔ながらの製法で作ってます。というわけにもいかないので、全体的にこんな感じです。最初の方の工程では葡萄を輸送するための経路っぽいものも見えるので、まあ分かるかな…。

ワイナリーの工場内写真はどこにでもあるだろうから省略して、工場見学の途中にある展示スペース。
遠目になんだコレ?と思ったら、コルク抜きのコレクションでした。
コルク抜き
たいがいは見慣れた形をしているのですが、一部はとても使えそうにない物や、そもそもどうやって使うのかよく分からないようなものまで…。
ソムリエナイフでかっこよく開けるのもまあいいんですが、実用上は一番左上と左下に写っているタイプが使いやすいですよね。

で、そのコルクなんですが、木の皮だということは知っていたものの、
コルクの説明
なんと採取できるようになるのが樹齢20年程度から。しかも、その後毎年じゃなくて9年に1度。樹齢250~300年くらいまでは採取できるらしいのですが、長めの300年までと考えても30回くらいしか採取できない計算。

こんな風に分厚い皮から打ち抜いて作るわけですから、
コルク打ち抜き

皮自体の成長を時間かけて待つしかないということのようです。
コルクの木

9年に1度しか収穫できない農産物なんて、そうそうない。
手間はかかるし、そもそも自然のものなので雑菌の問題やコルクの香りが酒に移ってしまうという問題がたまに起こる。そんなわけで、最近は合成樹脂で作られたコルクが使われたり、スクリューキャップになっているケースも増えているようです。


この展示スペース、アンティークなワイン関連機器も置いてありました。
これは大正初期のコルク打栓機。
コルク打栓機
説明は特にありませんでしたが、どこに瓶を置いて何をすればいいのかはだいたい見れば想像つきます。瓶の底が炭酸入りジュースの缶底みたいに丸くなっているのは澱を貯めるためが本来ですが、それをうまく利用しているみたい。

こっちのほうも打栓機のようですが、多少新しいものでしょう。
打栓機2
ちなみに隣にちらっと写っているのは、アンフォーラというローマ時代のワイン貯蔵容器。ガリア(フランス)からオーク樽がもたらされる以前は、これに入れて保存していたんだそうです。

ずーっと隣まで見ていくと、小物としてご丁寧に収穫カゴまで。
収穫カゴ他

その後貯蔵庫や過去に製造したワインのサンプル保管庫なども見て、試飲コーナーへ。
一気に大量の人が嵐のごとく流れ込む。さすが酒飲みというべきか、有料試飲があっという間に黒山の人だかりに。有料といっても500円で試し放題ですから、オトク。

ソラリスという高級ラインナップを一通り試してみたのですが、結局おみやげでアイスワインにしました。それが実は先日の試飲会のとき出した物でした。

じつはさらに別途500円で2006年の貴腐ワインが飲めたのですが、これはまた格別でした。欲しかったけど、1本3万円なので断念。

試飲コーナーをてんてこ舞いさせた後、2枚目の写真のところでお昼ご飯。またここでもみんな飲んでたなー。


ところでこのマンズワイン、1985年にジエチレングリコール事件という世界中のワインを巻き込んだ騒ぎの中で大変な被害を受けた経験があります。その反省からか瓶に書いてある生産地やら何やらの情報がやたら多いです。
このジエチレングリコール事件(毒入りワイン事件)そのものが何かという話はあちこちに出ていまして、このサイトの説明が詳しくて分かりやすかったです。
要するに、ワインにジエチレングリコールという不凍液(有毒)を入れるとおいしくなる。毒だけど、知らんぷりしてちょっとだけ入れているということが横行していた時代があったが、それがばれて大騒ぎになった、という事件です。
ジエチレングリコールって何?と思われる方もいるかもしれませんが、最近ですと中国産の偽装グリセリン(中身がジエチレングリコールだった)を使ったシロップで、パナマの子供達が大量に死亡した事件なんかでも出てきました。こちらのページによると、1930年代から中毒事件が起きている曰く付きとも言える物質のようです。

で、このジエチレングリコール入りワインをバルクとして買い、自社製造のワインに混ぜて売っていたのが当時のマンズワイン…ということらしいのですが、探してみてもけっこう詳しく書いてあったのはこちらの農山漁村文化協会のページくらいしかありませんでした。当時の新聞でも探さないとちゃんとした情報はもう探せないかも。

ま、すでに事件は風化してしまっているようですけど、今は真面目にやってるよ、ということらしいです。
でも、確かにアイスワインおいしかった。

コメント

なんか最近見てきたばっかりのところだ。<うちのアルバム
自分は工場は時間がおしちゃってて見られなかったんですよー。
試飲がいっぱいあって楽しかったです。

2009/11/18 りすた

>>りすたさん
ほんとだw しかも一週間違い(実は1ヶ月も経ってからやっとコレ書いた)。

コース丸かぶり。行った順番がマンズワイン→白州でしたけど。
白州のリチャーは私は写真で撮ってきたので、それをメインにしようかなと記事準備中。

2009/11/18 妖


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