2009/11/02
今回屋久島へきた主要目的の縄文杉。2日目に早速行ってきました。
200枚以上も写真撮りながらの往復。
縄文杉、さぞかしでっかいんだろうと思っていましたが、まずスタート地点に行くまでが大変。宿の近くのバス停からの出発時間は早朝5時。
まあバスの中はもちろんぐっすりで、一時間ちょっとで登山口に着きます。
そこにある看板の注意書きが何かとすごい。
曰く、
遅くとも午前7時までには出発。
往復には10時間かかる。
縄文杉からは13時には帰路につくこと。
次のトイレまで3時間(実際には、途中に一箇所バイオトイレもあります。)
すでにスケールでけぇ。ハイキングの延長みたいな気分で来ると、確実にくじけます。
でもこれ、大げさでも何でもなくて全部本当です。甘く見てると簡単に遭難します。
ということで、覚悟を決めて出発。
6時20分。標高600mの登山口からスタート。ちなみに温度計は約25度になっていますが、これは腕に付けているせいで実際より高い温度が表示されています。実際の気温は15度前後じゃないかと思います。
最初はトロッコのための線路をてくてく歩きます。
まず最初の橋。
ここはスタート直後ですので、みんなで一列になって進みます。オフシーズンだったからこんなもんですが、きっとオンシーズンはずっと人間の渋滞なんだろうなあ…。
橋を渡ったらすぐもうこんな感じ。
何の屋根かと思ったら、水路でした。上から流れてくる水の量が多いので、屋根みたいにして線路の下の土が流れてしまうのを防いでいるみたいです。
また橋だ。と思ったら、手すりもなんにもない。落ちたら死ねます。
でも、橋からの景色はきれいでした。
その後もこんな感じのトロッコ道をてくてく行きます。
すると着くのが小杉谷橋。
この橋を渡った先は、もともと小杉谷村という集落があるところでした。屋久杉は昔から林業として伐採されていたのですが、大正時代からはここを基地として伐採が行われていたそうで、最大で500人以上が住んでいました。しかし、その後環境保護の問題や木材の需要低迷で伐採は終了。昭和45年には廃村となりました。
もう少し詳しい情報が林野庁のサイトに書いてあります。
これが当時の小中学校の校門。
ここから少し中に入ると、もともと校庭だったあたりで、奥には校舎跡の石垣も見えます。
ただ、なぜか突然地面の陥没が起きたため今は奥の方は立ち入り禁止。
学校跡地を出て少し上の方に行くと、小杉谷製品事業所跡地の記念碑があります。
伐採した屋久杉を、ここで加工していたんでしょう。
石垣もすっかり苔むして、山の一部になってしまっていました。
で、実はさっきまでのトロッコ道は単に線路の間を歩いているだけだったのですが、この小杉谷村跡から先は、線路の間に板が置いてあって、非常に歩きやすくなります。
この後もまだまだトロッコ道は続くのですが、道中雑木林がほとんどの中、一部は杉林もありました。
トロッコ道沿いにあるのは、「三代杉」。
何がどう三代なのかは、この説明を読んでください。
要するに、初代の倒木の上に2代目の杉が育ち、それが伐採された後の切り株に3代目の杉が育っているということ。屋久島では、このように倒木や切り株の上に別の木が育って森が成長しているそうです。
でまあ、ほんのり色づいた木々を見ながら進みつつ。
いい加減飽きてきたなーとか思いつつ歩いていると、後ろからエンジン音が。
トロッコ来た!
…すみません、トロッコと聞いて、インディ・ジョーンズとかが乗っているあんなのを想像していました。でも、それじゃ坂登れないしね。機関車じゃなきゃ無理だよね。
このトロッコ、すれ違ったちょっと先で止まっていたのですが、何をしているのかと思ったら橋の上でずれてしまった線路をハンマーで叩いて直していました。運搬も保線も当然セルフサービス。しかし、橋の上で線路がずれてたとか、気付かなかったら大惨事じゃん…。
ちなみに、何を運搬しているのかは後ほど。
あ、ヤクシカ!
だいぶ歩いて、日も昇ってきたのか木漏れ日がきれいです。
でも、まだチェックポイントである大株歩道入り口には着きません。
分岐がある!と思ったら、すれ違い用かなんかの待避線でした。
何となく苔の写真撮ったり、
完全に空中に飛び出していて、使ったら転落確実な待避(しちゃいけない)線見つけたり
もういい加減トロッコ道飽きた!というところでやっと大株歩道入り口に到着。
ここで水を一口飲んで、本番開始。歩道と侮るなかれ、スタートからこんなんです。
むしろ枕木に板が渡してある今までが歩道で、ここからが山道です。
看板の説明通り、ここからは木の太さが変わります。
木の根ものたうち回ってすごいことになっています。
これは「翁杉」。
この辺りまで来ると、杉の高さもかなりのものになってきます。
翁杉からもう少し進むと、これがウィルソン株。
反対側から
切り株なんですが、平気で何人も入れるようなサイズです。
中は空洞になっていて、入って外を見るとこんな感じ。
また、中には水が湧き出ていて、小さな神社(?)もあります。ここの水は飲めるとはどこにも書いていなかったのですが、ちょっと掬って飲んでみたらおいしかったです。他にもいくつも水が汲めるところはあったのですが、ここのが個人的には好きでした(ただし、飲んで体調不良になっても知りません)。
ちゃんと水場っぽくなっているところで言うと、縄文杉から数えて3番目くらいのがまあおいしかったかな。
切り株は上の方に穴が空いているので、空も見えます。
で、こうやって見るとただ単に穴の空いた切り株なんですが、ある角度からだと…
きれいなハート型に見えます。コレ最初に気付いた人はすごいと思う。
ウィルソン株から縄文杉まではまだけっこうありまして、休憩もそこそこにさらに歩きます。
ちなみにこの木肌の色が明らかに違うのはヒメシャラの木。
成長に従って樹皮が剥けていって、この色になるそうです。杉の木の灰色の中に時々あるので、ひときわ目立ちます。でも、近くまで寄って見ると、サルスベリと違って木肌がつるつるなわけではないみたいです。
この辺になってくると、もう自分の中での「杉の木」の認識がぶっ壊れてきます。
巨大な切り株にいろんな木が生えてきてたり、
もう緑のお化けみたいになってたり、
ただひたすらに巨木だったり。
これは「夫婦杉」。隣の木の枝がくっついちゃったものです。
これは名前忘れてしまいました。私の前にいたグループのガイドが解説しているのを立ち聞きしたところによると、良縁や安産の御利益があるそうです。
…まあ、多くは語るまい。
木の根のトンネルを越えると、だいぶ縄文杉も近いです。
川というほどではないですが、岩の上を水が流れていました。
そして10時過ぎ、4時間弱で標高約1,300m地点まで来ました。(頂上というわけではない)
縄文杉!
とても1枚に収まらないので見上げる。
まだはみ出てるのでさらに真上を向いてみる。
幹のサイズが尋常じゃありません。
古いから縄文杉、という説と、この幹の模様が縄文っぽいから縄文杉という説があるそうですが、ここにある看板には幹の模様から名付けられたという説明しかありませんでした。
縄文杉の樹齢については諸説あるようですが、とりあえずでっかいし古い。すごい迫力です。
オンシーズンはすごい人で立ち止まることすら許されない状態のようですが、今回はほぼ貸し切り。のんびり眺めて一休み。
そして、登ってきたからには下りなければならないわけで。今度は今まで歩いてきた道を逆に戻ります。
でも、帰り道はまた風景が違って見えるからけっこう楽しめます。
ウィルソン株ではハートの空が見えましたが、足下にはハートの切り株がありました。
きょろきょろすると、枝がわけわからんことになっている木が。
実は途中に「自然観察路」という別ルートがあったのですが、メインルートに比べて道なき道状態で、目印のリボンも少ない!
自然観察といっても、私が杉の養分になっていく様を自然に観察されそうだったので、今回は行かないでおきました。単独行動だから何かあったら誰にも見つけてもらえないしね。
ウィルソン株の前でカロリーメイトを一袋だけ食べて、そしてえっちらおっちらまた大株歩道入り口まで戻りトロッコ道へ。登りでは気付かなかった看板を発見。
しかし、一体どの倒木が仁王杉なのかは分からず…。
またこんな道をてくてく歩きます。
ヤクザルは人に慣れているのか、私を仲間だと思ったのか、隣を通っても逃げませんでした。
朝はまだちょっと暗くて撮れなかったのですが、切り株の上の小さな小さな芽なんかも撮ってきました。
これは苔かな?
こっちは杉の子供。
これが1,000年以上経つと屋久杉になるのか。
脇道から川辺に下りられるところを見つけたので川を眺めたり。
忘れられた(?)神社を見つけたり。
!!注意!!
石段などが崩れかけて非常に危険な状態だったので、行ってはいけません。登るときはあまり気付かなかったのですが、一部の石が浮いています。1段の高さも人間用にしては高く、石と一緒に転げ落ちる可能性があります。しかも、ちょっとコースから外れているので通常は人が来ません。
翌日白谷雲水峡に行ったときに雑談した地元おっちゃんに聞いたところ、ここは小杉谷村が杉を伐採するために山の神様をまつっていた神社だろうとのこと。ただし詳細は不明です。
そんな神社にお参りしつつまた最初のトロッコ道へ。
実はこの最後のトロッコ道が曲者で、ものすごく疲れます。枕木がきれいには並んでいないので、歩幅が強制的に乱されます。しかも、でこぼこしているために枕木の上を歩かざるを得ず、地面が固いことになって足にかかる衝撃も大きくなります。何時間も歩いてきた最後がコレなので、かなりきつかったです。
そして14時前に登山口へ。
通常であれば複数人のパーティで行きますから、遅い人のペースに合わせることになります。また、休憩も多く取って行きますので、確かに10時間はかかるでしょう。
今回の場合は単独行動、しかも休憩もほとんど無し。ということで、2時間以上標準から短縮しての往復となりました。
でもここで問題発生。バスダイヤは、往復10時間かかることを考慮した朝2便と夕方2便しかなし。標準より2時間半も早く戻ってきてしまった私からすれば、2時間半後までバスがない!
そのまま寝ているしかないのかと思いましたが、30分後くらいに下りてきた人がレンタカーだったので、ヒッチハイクさせてもらいました。
で、登っているときに走っていたトロッコ。その目的地は大株歩道入り口のトイレです。
要するに屎尿の汲み取りです。水の再利用などで水洗トイレのようになっていますが、貯蔵された分は当然回収しなければなりません。通常のバキュームカーはこんなところまで来られませんから、トロッコで汲み取りに来ているというわけ。
屎尿は自然のものですからほっとけば自然に還るのですが、ここまで人数が多いと通常の自然のバランスを崩し、植生などが変化してしまいます。そのため、山のトイレは途中の処理方法はともかく、最終的には回収しなければなりません。
なお、縄文杉のさらに先に山小屋(リゾート地のおしゃれな感じじゃなくて、山中泊する人が風雨をしのぐための建物)があるのですが、そこのトイレも同様に汲み取りが必要。ですから、ここからポリタンクを背負って人力で回収に行っています。
私の場合、山の中ではあまり飲み食いしません。このときも水は時々口に含む程度、食事は宿で朝おにぎりを食べて、昼はカロリーメイト1袋だけ。水の量は汗の量に応じて変えなければなりませんが、がぶ飲みしてもあまり意味はありません。食事もちょっとくらい食べなくたって死にはしません。このへん調整して、トイレに行く回数はかなり少なくしています。(消費しないだけで緊急時用のために多めに持って行ってはいますよ。)
日常ではお茶やら水やらかなり飲んでトイレもしょっちゅう行っているのですが、山へ行ったときは切り替えています。山の中にゴミを捨てるのは当然論外として、実は人間がやたら立ち入るだけでも環境負荷はかけているというのはお忘れなく。
>>ひろっちさん
大木ばっかりで、だんだんそれが普通になってしまいます。
山の中に人間は自分一人という状況で黙々と歩いていると、何だかだんだん楽しくなってきますよ(笑)
それは極端な例とはいえ、少なくともオンシーズンは避けた方が良いでしょう。
2009/11/03 妖
ハートがいっぱいですね〜
Aiも喜びそうです
2009/11/07 nanami
>>nanamiさん
確かに先日ウィルソン株からのハートを見せたときは興味を持っていたようでした。
ここには出していませんが、ミッキーっぽい形の切り株もありました。
2009/11/07 妖
さすがに縄文杉の鬱蒼と生える森は
迫力がありますね。
生命力があふれているような気がします。
一度行ってみたいですねぇ・・
2009/11/03 ひろっち