アール・デコの館

2010/05/09

東京都庭園美術館は、旧朝香宮邸とそれに付随する広い庭の施設です。通常は美術館として使われていることもあって室内は撮影禁止だそうですが、邸そのものが年に一度公開されています。
ちょうど桜の時期に開催されていたのを教えてもらったので、会期終盤に滑り込みで行ってきました。

アール・デコと聞き行ってみたものの、外観はこんなの。
建物

しかも入り口前には神社かと見まがう置物が…
狛犬1

狛犬2
狛犬なのか獅子なのかという以前に、とりあえずアール・デコっぽくないことだけは確か。

しかし、玄関を入るとモザイクの床。
玄関のモザイク床

正面の扉(公開中は開きません)はルネ・ラリック(René Lalique)によるガラスレリーフ。
ガラスレリーフ扉1

ガラスレリーフ扉2

ちなみに裏から見るとこうなる
ガラスレリーフ扉3


すぐ左側は第一応接室でした。
第一応接室
意外と狭い。まあ、応接室というくらいですし、こんなもんでしょうか。ちなみに椅子は宮内省内匠寮(くないしょうたくみりょう)工務課謹製(その後布は張り替え)。

そして、受付になっている外套室と大広間を抜けて見えるのは噴水塔(香水塔)。
噴水塔
アンリ・ラパン(Henri Rapin)がデザインし、フランス国立セーブル製陶所が制作。もともとは香水を使うことを想定していなかったのかもしれませんが、上部の照明部分に香水を入れて照明の熱で香りを漂わせたことから香水塔という名がついたそうです。香炉のイメージで使ったんでしょうね。現代ならアロマライトか?


香水塔が次室(つぎのま)にあり、その先が大客室。扉はマックス・アングラン(Max Ingrand)によるエッチングガラス。扉の上の部分の金工装飾はレイモン・シューブ(Raymond Subes)だそうです。
大客室の扉

暖炉。暖炉の上の写真は、昔撮影された大客室の写真。
大客室の暖炉


次が大食堂。
出窓から光が入る構造でした。
大食堂

上の照明は食べ物。ルネ・ラリック作のパイナップルとざくろだそうです。
大食堂照明

扉のエッチングガラスは、大客室と違うデザインでした。
大食堂の扉

大食堂の暖炉。上に描いてある壁画はアンリ・ラパンによるもの。
壁画と暖炉


こちらは喫煙室。パンフレットによると室内現状は竣工当時と大きく異なりますとのことなので、後ろにある和室の写真が当時の状況なんでしょう。多分。
喫煙室

奥にかかっている写真とテーブルが微妙に違うようですが、現在置いてあるテーブルはもともとは若宮寝室用として作られたものだそうです。天板は大理石。もともと喫煙室用に作られた調度品も含めて宮内省内匠寮工務課制作。
喫煙室のテーブル


ぐるりと1階は回ったので、大広間の階段から2階へ。この階段がいかにもな階段ですごいです。
階段

登ったところの階段ホールにあった照明。宮内省内匠寮工務課制作。
階段ホール照明


若宮寝室。窓から桜が見える時期に今年は建物公開をしたとのことだったので、その景色を。
若宮寝室より

こちらは殿下書斎。意外とこぢんまり。机、椅子、絨毯はアンリ・ラパンによるもの。
殿下書斎
書斎にしては(写真を撮ったときはカーテンが1カ所しか開いていないことを考慮しても)暗すぎる気がするのですが…。

第一浴室。洋風のようです。アール・デコなんだから当然か。
第一浴室

3階にあるウィンターガーデン。テーブルと椅子はマルセル・ブロイヤー(Marcel Breuer)によるデザインの復刻版だそうです。
ウインターガーデン

で、この部屋にあった真鍮製と思われるレトロな蛇口。
蛇口
でも、よく考えたら何の用途だったんだろう?

一度3階まで上がった後、別の階段を下りてまた1階へ。階段の途中にある窓や手すりもおしゃれでした。
丸い窓

階段の手すり

そして最後は小食堂の床。
小食堂

中には昔の写真があったり、ちょっとした歴史資料があったりといろいろおもしろかったです。
ただ、自分が思っていたよりは少しおとなしいアール・デコだった気がします。デザイナーはフランスから連れてきているはずなので、アール・デコが本来こんな感じなのか、あるいは日本に合うように何らかの修正が施されているのか?詳しくないのでよく分かりません…。


以下、その他もろもろの写真。
ラジエータカバー
ラジエータカバー1

ラジエータカバー2

ラジエータカバー3

ラジエータカバー4


いろんな部屋にあった照明
大客室のシャンデリア:ルネ・ラリック 「ブカレスト」
大食堂シャンデリア

小食堂の照明
小食堂

その他各部屋の照明
照明1

照明2

照明3

照明4

照明5


美術品
大広間のレリーフ:イヴァン=レオン=アレクサンドル・ブランショ(Ivan-Léon-Alexandre Blanchot)による「戯れる子供たち」
戯れる子供たち

アンリ・ラパン 蓋付き壺#21
蓋付き壺

ルネ・ラリック 花器(オラン)
花器

ルネ・ラリック 皿(金魚)
皿

ルネ・ラリック 燭台(リックヴィール)
燭台

ルネ・ラリック 電灯式多枝型燭台(ロワトゥレ(キクイタダキ))
電灯式燭台

ルネ・ラリック カーマスコット(ヴィクトワール(勝利の女神))
カーマスコット
※車のボンネットの先にくっつけるやつです。

アンリ・ラパン 花瓶 リモージュ焼タロー窯
花瓶

どこの部屋に置いてあったか忘れたテーブル
テーブル


この後茶室を見たり庭を散歩したり、そんな一時でした。庭もけっこうのどかだし、そっちだけのんびり行くのも良さそうでしたよ。

コメント

朝香宮邸は、寄生虫博物館とセットで
2年に一度みにいってますよ。
アールデコが5年くらい前に流行ったとき
よく見に行きました。
あのあたり、巨大インコが大繁殖してるのでも
有名です。

2010/05/09 Kernel

>>kernelさん
寄生虫博物館は行ってみたいのですが、結局行きそびれてます。
巨大インコ、行った時は特に見かけませんでしたが、そもそもそんな話を知らなかったので気付かなかっただけかもしれません。調べてみたら大岡山駅の東工大キャンパスでも大量繁殖しているみたいですね。

2010/05/10 妖

見学に行くたびに落ち着かない家だなぁと
思ってしまう生粋庶民です。

余談ですが近くに台北経済文化代表処(台湾大使館)があるせいか、そのあたりの台湾料理屋はレベルが高いと聞いた覚えがございやす。

2010/05/11 伍佰

>>伍佰さん
外の庭がとてもいい感じでしたよ。
ちなみに、このときは茶室も公開していましたが、そっちのほうがのんびりできたことは否めません…。

>>台北経済文化代表処
あそっか。大使館は正式に存在するわけないですよね。
その国の料理を食べたければ、大使館周辺を探せばいいのかな。大使館周辺をうろつく妖しい人として職質されたりして(笑)

2010/05/12 妖

ラジエーターカバーとか
シャンデリアとか、おしゃれ〜

もらってきてほしかった...(笑)

2010/05/14 nanami

>妖さん
そうなんですよ>大使館
名前が覚えにくいので「白金のあそこ」で
台湾関係者の間では通じています。

うろつくのは確かに妖しいw
観光局に聞くと、気軽に教えてくれたり
しますよ。

2010/05/15 伍佰

>>nanamiさん
ちょっとほっかむりして深夜にもらいに行ってきます(笑)

>>伍佰さん
そういえば大使館とか行ったことないです。通常は用事ないもんなぁ。

2010/05/15 妖


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